壁紙工事の作業工程
クロス(壁紙)の貼替作業は、熟練した技術と丁寧な作業が必要となります。複数回の貼り替えをした事がある壁の場合は、特に注意が必要となります。ここでは一般的な作業工程について説明します。
家具の移動
作業するお部屋の中に置かれている、クロス張り替えの支障となる家具を移動させます。エアコンが設置してある場合などは、エアコンの取り外しも必要になります。壁紙を綺麗に貼るために、コンセントのプレートや照明のスイッチ類に関しても、外せるものは全て一度取り外します。
養生作業
クロスを貼る際に、リフォームしない部分の床や家具などに汚れが付かないよう、養生シートなどで被って保護します。道具をぶつけて壁や床に傷を付けないためにも、この養生作業をしっかり行っておく必要があります。
古いクロスを剥がす

現在貼ってある壁紙を剥がします。壁紙には表面に見えている部分と下地との間に裏紙という薄い紙があり、下地と裏紙がセットになっています。剥がして裏紙が綺麗に残せそうなら裏紙はそのまま残し、なるべく傷をつけないように剥がしていきます。
通常のクロスの場合は裏紙の厚さはコピー用紙よりも薄いものなので、そのまま上から新しいクロスを張ることになります。ささくれてしまったり、中途半端に剥がれてしまった部分は、裏紙も剥がします。
壁紙を剥がすときは、継ぎ目があればそこから、見つからなければ細いカッターで切り込みをいれてスクレイパー(刃状・ヘラ状の器具)を使って剥がしていきます。下地の石膏ボードなどにキズがつかないように慎重に作業をします。壁の縁付近はカッターナイフなどで、詰まっているゴミやコーキング(充填剤)を落とします。
剥がし終えたら、裏紙とその下の下地がしっかりくっついているか、浮きをチェックします。以前にクロスを貼ったときの糊付けが、時間が経ったことによって、裏紙が下地から分離することがあるために確認します。浮き上がった裏紙があれば、部分的に剥がします。
下地の補修

下地処理とはクロスを貼る前のファンデーションのようなもので、美しいクロスの張替えにとって重要な作業です。新しいクロスを貼る前に貼付け面を一度まっ平らにします。壁紙を剥がすことで、下地の状態があらわになります。この段階で初めて分かることも多く、下地の状態によってやるべきことが変わってきます。
壁に穴が合いていたり段差がある状態のままクロスを貼ると、後々壁紙の表面がボコボコになる原因となってしまいます。亀裂が入っていたら亀裂を治し、凹んでいたら凹みを埋める補修します。石膏ボードにカビが生えている場合はカビキラーでカビを除去し、カビ止め剤を塗ります。
下地の大きなダメージ(キズ、穴、ヒビ、カビ等)を修復したら、壁紙を貼るために下地をならします。裏紙が残った部分と、石膏ボードなどの素材が露出した部分との段差を埋めるために、下地用のパテを薄く塗ります。裏紙による微妙な段差を埋めるためと、裏紙の端を押さえるための2つの意味があります。壁の縁が溝のようになっているときは、その部分にジョイントコーク(補修材)を塗ります。パテが乾いたあとで、パテを塗った箇所を中心にサンダー(紙やすり)をかけて仕上げます。
下地処理が適切でない場合、年月の経過とともにクロスの浮きや継ぎ目が目立ったり、カビが発生するリスクが高まってしまいます。下地処理をきちんと行うことが大切です。
クロスの貼付け

壁や天井の高さを測り必要なクロスの長さを測定します。専用の機械を使って、ロール状のクロスを切り出して、裏面に糊付けをします。すべての面に均等に糊がつくように、材料によって糊の量を変えたりと細かく設定することで、壁紙がむらのない美しい状態に仕上がります。
裁断し糊付けしたクロスを、壁面に丁寧に貼りつけていきます。クロスの向きを合わせ、後で継ぎ目の処理をする為に、継ぎ目を少しだけ被せながら貼っていきます。手のひらで優しく撫でながら伸ばし、仕上げに撫でバケで空気を出すように伸ばしていきクロスと下地を密着させます。壁紙と壁面の間に空気が入ると、剥がれや浮きの原因になります。さらにローラーを使って、クロスを下地にしっかりと圧着させます。竹ベラでなぞって壁際の隅をつくります。美しい仕上がりのため、剥がれにくくするために、隅や角の部分に対して、クロスがしっかり貼れていることが重要です。
クロスを張り終えたら、余分な部分をカッターで切り取ります。壁紙の隅の部分にどうしても隙間が出来てしまうことがあるので、ジョイントコークを塗ってなじませます。
後片付け
張り終わったら養生を取り、外していたエアコンやコンセントを付けなおします。移動させていた家具や荷物も元の場所に戻し完了です。